ロサンゼルスの陶芸家、マーク・ディゲロスのうつわは、色彩豊かできわめて独創的な形をしている。

板状に伸ばしたたたら粘土とベニア板、型紙を使ってつくるマークの作品は、複雑な折り目やふくらみ・くぼみがあり、まさに山折り谷折りの折り紙のようである。四角や丸などの単純な形ではなく、自由に多面体を土で形成するので、うつわなのにまるで彫刻のように見える。
また、マークのうつわの底は、遊び心たっぷりの複雑な線や凹凸があって、器をひっくり返すのも一つの楽しみである。これらの底は、ベニヤ板で作った型にたたらをはめ込んで地面に落とすことによって作る。




いろいろな型を自作して、ほかにないうつわを作るマークの技術は他に類を見ない。思いも及ばぬアイデアを形にできるマークの技術は現在、著名建築家・フランク・ゲーリー設計事務所のモデルショップマネージャーとしても発揮されている。

10年以上、奇抜なゲーリー氏のアイディアを形にする重要な役割を果たしてきたマークのうつわは、形にそって揺らぐ直線やパターンがいっそうそのフォルムを強調している。ゲーリー氏の建築もすぐ彼のものと解るけれど、マークのうつわも一度見たら、彼のものと言い当てることができるのではないだろうか。
マーク・ディゲロス経歴
ミネソタ大学で美術学士を取得後、ワシントン大学で美術修士を修了。モンタナ州ヘレナにあるアーチーブレー財団のトーントフェローシップの第一回取得者として同財団のレジデントとなる。フェローシップ終了後ロサンジェルスに移り、現在建築家フランク・ゲーリースタジオのモデルショップマネージャーとして活躍しながら作陶している。