「人の心の柔軟性や、優しさを引き出すうつわを、生き生きと軽快に作りたい」というメイン州に住む陶芸家アユミ・ホリエは、もの静かでユーモラスな友人。
アユミの作品には陽気な動物たちや個性的な文字が描かれ、その不思議な魅力に取り憑かれたコレクターは多く、今では全米に熱狂的なファンがいる。 年に数回オンラインで行われるセールでは、100点を超える作品がわずか30分で完売してしまうほどの人気である。
多くのファンを虜にしているのは、見ると思わず微笑んでしまうアユミの絵の魅力。日本のアニメや、浮世絵から影響を受けたという動物たちは、独特の魅力がある。また可愛いだけじゃなく、取手のもちやすさ、口当たりの良さ、そして使いやすさもその人気の大きな理由である。

手作りの器を使いながら子供達が楽しんでアルファベットを勉強できたらいいという思いから
掛け算表やひらがなのカップもアユミはよく作る
またアユミはただの陶芸家じゃなく、アクティビストでもある。
私がアユミと知り合ったきっかけは、東日本大震災の被災者支援の チャリティーオークション、ハンドメイドフォージャパンを一緒に開催したことだった。寝る間も惜しんで、被災した日本の人を助けたいという一心で活動する彼女と力を合わせたオークションは大成功に終わり、一千万円を超える義援金を集めて被災地に送ることができた。

そんなアユミが陶芸家になったきっかけは「大学を卒業してからシアトルの新聞社で写真家として勤め始めた頃は、普段は入れない場所に入って特別な人とあえることがうれしかった。でも時間が経つにつれて、自分は生活を外から眺めることより、中に入って参加したいと思った」から。
「人間は常に仕事をしているわけではなく、じつは人生の大半を眠ったり、ご飯を作って食べたりして過ごしている。台所や暮らしの中で使う器を作る陶芸家は、そんな人々の生活にユニークな関わりや影響をもつことができる。日々の生活の一部となることはとても名誉なこと」だという。

写真提供アユミ・ホリエ
作陶がいろいろな技能を必要とすることや、「粘土という媒体が自分になじんだのも魅力だった」という彼女にとって、今一番難しいのは仕事と生活のバランスを取ること。「作陶は心身共に激しく関わる仕事なので作業を終えたら頭と体を解き放つことが難しい」のだ。
アユミの作品は、ほとんど彼女のウェブサイトからしか手に入れることができない。プロモーション、ニュースレター、人気ブログなどへの告知やコンテンツ作成もすべて彼女が一人でやっている。あゆみが開催するワークショップは、作品の作り方だけではなく、作品の売り方のノウハウなどのクラスもあり、大変な人気だ。
ゆえに多くのファンはインスタグラムでアユミが作陶している様子やスタジオでの出来事の写真を見ながら、年に数回のこのイベントを待ち構えている。
アユミ・ホリエ略歴
マウント・ホリヨーク大学を卒業後、ニューヨーク州立アルフレッド大学で陶芸を学び、ワシントン大学で美術学修士を取得。インターネット とソーシャルメディアの力を効果的に使って作品を販売しながら作陶を続けていくビジネスフォーマットをアメリカで初めて成功させた陶芸家といわれる。ヘイスタックマウンテンスクール、グリニッジハウス、ペンランドスクール、ピーターズバレー、アローモント校、ノーザンクレイ·センターなどで陶芸家のためのインターネットビジネス講習会なども行っている。アーチーブレイ財団ディレクター。